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♢字幕翻訳家 戸田奈津子先生から学んだ大切なこと
字幕翻訳家の戸田奈津子先生から直接お話を伺うという機会があって、我々英語教師の会合のゲストとしてお呼びしてお話を伺った時に、もうあれほどの方ですからみんなどんなお話をするんだろうと楽しみにしながらお話を伺っていました。
私は少し端折って話すので、戸田先生の非常に柔らかい口調や言い回しとは少し異なるんですけれども、要は「今みなさん『英会話を習いたい』と言って英会話スクールに通われますけれども、どうなんですかね?』というところからお話が始まって私達からすると「えっ、挑戦状?」というような冒頭でした。
もちろん戸田先生は人柄が特徴なのできつい感じはしないんですけれども、どんな話をなさるんだとすごくドキドキしながらお話を伺いしていました。
♢ずっと英会話が得意なのだという思い込み
要は戸田先生は今、トムクルーズさんなんかとも本当に流暢な英語でお話しされているのを画面で拝見出来ますけれども、36歳になるまで外人さんとお話をした事がなかったんですって。
今は戸田先生って70歳を過ぎていらっしゃる方ですが、もちろん津田塾ですので「元々が違うわよ」って私は思ってしまっていたんですけれども、当時は外国人と会う機会って先生が学生時代の頃はほとんどなくて、外国人と初めてお話したのが戸田先生が津田塾を出られてからも映画の字幕翻訳家になりたくて、ただ当時は女性の字幕翻訳家というのはいなくて、男性が十人いるかいないかだったそうなんです。
「狭き門」という言葉が世の中にあるけれど「門」自体がなかったんですって。
♢勇気を出して、一歩前に出てみる
女性で字幕翻訳家になりたいと言ったら頭がおかしいんじゃないかと言われるような時代にどうしてもなりたくて、映画配給会社で事務のアルバイトをされていたそうなんです。
その時に読んだり書いたりは出来るという事で、「じゃあこれ訳しておいて」とハリウッドから届いた文章の訳を任されたり、そして今度は日本語でスタッフが書いた文書を翻訳して海外とやり取りをするというお仕事をずっとされていて、ある日、35、6歳の時にハリウッドからスターが来るという事になり、誰か英語を話せる人はいないかという話になった際、全員が当時「無理無理」と言った中で、「あ、いつも英語を訳している女の子がいるじゃん」という話になり、「お前がやれ」という事になったそうなんです。
でも「一度も外人と話した事がないので無理です」と断ったら「いやでもあなたしか英語を訳している人がこの中にいないんだから少なくとも君しかいない。ということで無理やりやらされて、お会いしてお話をしたら、元々映画が好きで当時、年間100本以上ご覧になっていたそうなので、その映画好きが高じて、当然リスニングはされていましたから相手が言う事はほとんど聞き取れましたし、しかも洋画を見ながら好きな場面では声を出していらっしゃったそうなんです。
その場面を見ながらインプットして自然に声を出すという練習をされていた為に何とか話せたそうなんです。
今思うと先生曰く、おそらくひどい英語だったんらしいんですけれども、 でも通じたのでそこから通訳としてのお仕事が始まったらしいんです。
今からこのお話に戻るんですけれども、戸田先生が35、6歳になるまでにスピーキングは英語でされた事がなかったそうなんですよ。
♢そのお話を伺ったとき、全身鳥肌が立ちました
しかし洋画を見ながら場面と一緒に英語の音を聞く、そして翻訳をするというお仕事をされていたので、この三技能をされていたことでスピーキングの力も知らず知らずのうちに高まっていたという話を、我々英語教師にして下さいまして。
その時に私は鳥肌が立ってしまいまして、自分が英会話スクール講師らしからぬというか。
普通だと
“Today, we are going to learn expressions when we ask the others for a direction”
みたいな会話をやるじゃないですか?
”How can I get to Azamino station? So repeat after me how can I get to Azamino station”
と普通の英会話の先生だったらやると思うんですね。
こういう事を私もやっているので、いかに四技能のバランスが大事かという。
そしてスピーキングも全く生の外人さんとはしていなかったけれども、声を出すという練習はされていたので、これがいざという時何の準備もない、相手が何を言ってくるかも分からない中で言われた事に対して話すという事が何とかなったそうなんです。
ご自身ではびっくりしたとおっしゃっていましたけれども、それを伺った時に、凄くこの四技能のバランスが大事と感じました。
♢自分にとって知らない領域の事を発信できるのか?
しかもどういったバランスであることが必要かというと、どうだと思いますか?同じくらい?日本語ではどうでしょう。
自民党から民主党に変わってまた自民党に変わったこの政権交代、宮根さんがお話しされても古舘さんがお話しされても、多分言っている事はほとんど分かると思うんです。
今度は産経新聞であろうと読売新聞であろうと、政権交代について書かれた記事を読むと意味の分からない事はいくつか飛ばしながら、全体でなんとか捉える。ところがいかがですか?
今度政権交代について話して下さいと言われるとどうでしょう?
「いやいや、、」となると思います。「今度は書いてくれ」と言われたら、そもそも相手が違うというくらいに母語で考えた時にこういったバランスになっているはずなんですね。
自分にとって専門分野あるいは非常に馴染みのある事であれば四技能ほぼ同じくらいに、ほとんど準備なく出来るけれども、自分にとって知らない領域の事だとどんどんライティングとかスピーキングって発信出来る情報量が減っていく。読んだ時聞いた時には分かるのに発信する事が出来ない。
♢スピーキングと声に出して読むことの大きな違い
ところが今まで学校で触れてきた英語は実はどこから始まるかというと、ここから始まりまして、次にスピーキングとは違いますよね?
クリエイティブなスピーキングではなくて Read it out loud=声に出して読むという事をさせられますよね?
次に読めて文字として認識出来て、声に出して発音出来たものに関してはスペルを暗記しなさい、こうなっていくんですね。
これに至ってはどうでしょう??
ほとんど先生の持って下さったCDを聞くだとか、先生のジャパニーズアクセントの英語に合わせて真似をするとか、非常にリスニングの機会って限られていて、このバランスがあるや、これがほぼ目標が一緒だったんです。
教科書に出てきたものは声に出して読めるようにして、書けるようにしなさいと。
そしてリスニングはこういった羽子板状なんです。
絶対にこのままだと何をやっても上がっていかないので、ここを一旦台形型にして頂いて。
なので今ここに逆転が起きているんですね。
♢音で認識出来るけれども読んだ時に読めない
文字で見た時には分かるけれど、音で聞いた時に認識が出来ないと。「英語だと当たり前じゃん」と思ってしまうけれども、日本語だとまずないと思うんです。日本語は漢字があるので、漢字から認識するという事は若干ありますが、英語のアルファベットの綴りって音の並びを示しているだけで、日本語のように漢字の同音異義語というような世界ではなく全く意味を成さないのであって、英語の場合完全にここが逆転しないんですね。
音で認識出来るけれども読んだ時に読めないというものが英語ネイティブの場合はたくさん存在するという事になります。英語をやり直したいという時にどのレベルでもあっても、「ちょっとだけフレーズをやれば良いんですけれども」という方であってもこの逆転現象だけはまず何とかして頂いてそして自然に文字で認識出来て、印象に残った範囲で声に出せて、またさらに余裕がある範囲で文字として発信するというこのバランスを一度掴んで頂いてしまうと後が非常に楽なんです。
ですので仕事で少し英語を使うという方、もちろん会社に「私の英語脳が出来るまで待って下さい」とは言えないですから、そこはその場その場でいくつか必要なフレーズを暗記して話すという形で対応しながらも、でもそれだといつまでたっても頑張って覚えて言ったフレーズに対して相手が全く予期しない事を返してきたらそこで終わってしまいますので、それよりも粛々とここを準備されながら会社は待ってくれないで、必要なフレーズは調べたりしながら。
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